アメリカ・カリフォルニア州ヴェンチュラ郡を拠点とする生産者。ローヌ系品種を中心に、ヴィンテージごと・キュヴェごとに構成や表現を大きく変える独自の姿勢で知られ、アメリカにおけるカルトワインの代表的存在の一つとされています。
1994年にマンフレッド・クランクルとエレーヌ・クランクル夫妻によって設立。設立当初から、既存の産地概念や様式に縛られない発想を重視し、ワイン名、ラベルデザイン、ブレンド比率、醸造手法に至るまで毎年変更する方針を取ってきました。再現性をあえて求めない姿勢が、このワイナリーの最大の特徴です。
主要品種はシラー、グルナッシュ、ムールヴェードルなどのローヌ系。畑はカリフォルニア沿岸部の冷涼な気候帯に位置し、海風や標高差の影響を受ける区画が選ばれています。自社管理畑を中心に、区画や年の条件に応じてブレンド構成は毎年見直され、同じスタイルが繰り返されることはほとんどありません。
栽培では収量を大きく抑え、完熟果実のみを使用。成熟度は非常に高く、果実の密度とエキス分を重視した収穫が行われます。年ごとの気候条件は均質化されることなく、そのまま個性として受け入れられます。
醸造はヴィンテージごとに柔軟に設計され、新樽比率や熟成期間も固定されていません。ワインは高い凝縮度と厚みを備え、アルコール度数も高めになる傾向がありますが、単なる強さではなく層の重なりと構造が重視されています。
若い段階では圧倒的な果実の密度とエネルギーが前面に出ますが、熟成によりスパイスやハーブ、熟成由来の要素が加わり、全体が統合されていきます。縦の比較よりも「その年、そのキュヴェ」を個別に捉えることが前提となるスタイルです。
流通は主にメーリングリストを通じた直接販売が中心で、生産量は限定的。市場流通量が少ないこともあり、入手は容易ではありません。この希少性と独自性により、特別な評価を確立してきた存在です。
ワインを再現される商品ではなく、その年限りの表現として提示する生産者。アメリカワインの中でも例外的な立ち位置を保ち続けています。