フィリップ・パカレは、ブルゴーニュ地方を拠点に活動する醸造家です。特定の村に自社畑を構える伝統的なドメーヌ形態ではなく、契約・提携畑からブドウを得て醸造を行う体制を取っています。区画とヴィンテージの個性を補正せずに示す姿勢で知られています。
パカレは、ドメーヌ・プリューレ・ロックを率いたアンリ・フレデリック・ロックの甥にあたります。醸造学を学び、醸造コンサルタントとしての経験を経たのち、2001年に自身の名義でワイン造りを開始しました。畑の所有よりも信頼関係を基盤としたブドウ調達を重視し、自身の判断で収穫・醸造を行うスタイルを確立しています。
扱うアペラシオンはコート・ド・ニュイを中心に、コート・ド・ボーヌ、シャブリ、ボージョレなど多岐にわたります。村名からプルミエ・クリュ、グラン・クリュまで幅広く、区画ごとの条件をそのまま反映させる構成です。
醸造では自然酵母による発酵を基本とし、補糖や補酸は行いません。清澄や濾過も行わない方針です。抽出は穏やかに管理され、全房発酵を採用することが多い点も特徴です。新樽比率は抑えられ、木の要素を強調する設計ではありません。
ワインは若い段階では引き締まりと緊張感を備え、果実の甘さを前面に出すタイプではありません。酸とミネラルを軸とした構造で、ヴィンテージや区画による振れ幅も大きく現れます。均質な再現性よりも、その年ごとの条件を反映させることが前提となっています。
総じて、フィリップ・パカレは、ブルゴーニュにおける人的介入を抑えた醸造を徹底する造り手です。固定化された様式よりも、畑と年に応じた表現を重視する姿勢により、独自の位置づけを築いています。